「能率」の共同体

近代日本のミドルクラスとナショナリズム

ナショナリズム論に新境地を開く野心的試み

「能率」の共同体
著者 新倉 貴仁
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2017/02/17
ISBN 9784000018241
Cコード 0036
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 346頁
在庫 品切れ

1920年代から高度成長期までを貫く近代日本のナショナリズムを「能率の共同体」という観点から論じる.産業合理化,大量生産技術,都市と農村の人口問題等々,量と数をめぐる技術の変容は,知識人,官僚,産業界,政治家,軍人のナショナリズム言説と,ミドルクラスを中心とした国民統合にどう関わってきたか.

序 章  想像の共同体から「能率」の共同体へ ──ナショナリズムと文化の社会学
第一節  問題の所在と研究の目的  
第二節  近代日本における「文化」のナショナリズム  
第三節  本書の視角──権力論と産業技術  
第四節  問題の系列──二重構造、ミドルクラス、産業技術  
第五節  本書の構成──四つの時代区分

第一章  量の技術と文化の時代──一九二〇年代
第一節  総力戦と文化主義  
第二節  能率への配慮──俸給生活者たちの生  
第三節  文化生活と人口問題  

第二章  ネーションをエンジニアリングする──一九三〇年代
第一節  危機のなかの都市と農村──モダニズムとファシズム  
第二節  国民、国土、国家のエンジニアリング  
第三節  「機械」と「中間」の思想  

第三章  数の技術と戦後社会──一九五〇年代
第一節  復興と文化  
第二節  数の技術と戦後の社会変容  
第三節  「戦後」とミドルクラス  

第四章  マイホームをマネジメントする──一九六〇年代
第一節  ナショナルなものとニュー・レフト  
第二節  マイホームの生  
第三節  二重構造と思想の終焉  

終 章  ネーションなきナショナリズムの時代に


あとがき
図版出典
引用文献
新倉貴仁(にいくら たかひと)
1978 年生まれ.成城大学文芸学部専任講師.社会学,メディア論.東京大学大学院情報学環・学際情報学府博士課程修了.博士(社会情報学).主要論文に,「ナショナリズムと社会変容──第一次大戦後から高度成長期までの「文化」を視軸として」(東京大学大学院学際情報学府博士論文,2014 年),「ナショナリズム研究における構築主義──ベネディクト・アンダーソンの知と死」(『社会学評論』59 巻3号,2008 年),「存在拘束性のナショナリズム──丸山眞男と知識社会学」(『相関社会科学』18,2009 年),「吉本隆明──個人と共同体のあいだ」(『戦後思想の再審判──丸山眞男から柄谷行人まで』法律文化社,所収,2015 年),「「想像の共同体」を越えて」(『思想』1108,2016 年),「都市とスポーツ──皇居ランの生‐政治」(『iichiko』126,2015 年)等.

書評情報

東京新聞 2017年6月4日
新潟日報 2017年4月16日
福島民友新聞 2017年4月8日
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