いのちとは何か

幸福・ゲノム・病

永遠の問いに現代生命科学はどう答えるのか.いのちと幸福を〈偶然〉と〈必然〉のダイナミズムで語る.

いのちとは何か
著者 本庶 佑
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 生命・医学
刊行日 2009/12/17
ISBN 9784000050586
Cコード 0045
体裁 四六 ・ 上製 ・ 166頁
在庫 品切れ
永遠の問いに現代の生命科学はどのように答えるのか.生命における原理とは何か.それは物理学の原理とは異なるのか.環境との相互作用の中で生まれ進化してきた生命は,〈偶然〉と〈必然〉の狭間を歩んでいる.いのちのダイナミズムと人の幸福を世界的に知られる研究の第一人者が語る.雑誌『科学』連載の単行本化.


■編集部からのメッセージ
 書名の問いかけは、永遠の問いとも言える大問題です。現代の生命科学はその問いかけにどのように答えようとしているのでしょうか。生命の“原理”をつかみ出すことができるとすれば、それは何でしょうか。またそれは、物理学の原理とは異なるものなのでしょうか。環境との相互作用の中で生まれ進化してきた生命は、〈偶然〉と〈必然〉の狭間を歩んでいます。いのちのダイナミズムと人の幸福について、世界的に知られる免疫学・分子生物学研究の第一人者が語ります。
  本書ではまず10章にわたって、私たちの〈いのち〉に密接に結びつく事柄を説いていきます。私たちは幸福を願いますが、生物学的な背景からどのようなことが浮かび上がるでしょうか。ゲノムに規定されている生命は、ある種、特殊な性格をもつようになります。その姿に第2章~第5章で迫っていきます。
 さらに、近年の研究では、私たちの腸内や環境におびただしい微生物が生息しており、それらが互いに遺伝子をやりとりしている姿が浮かび上がっています。生物種には、事実上、“無限”の多様性のあることが明らかになってきました。
 〈いのち〉はまた、〈病〉からも逃れられません。〈病〉を環境との相互作用のなかで統一的に捉える視点を紹介します。〈病〉のなかでもとりわけ注目されるがんには、章を一つ割いて根本から考えます。脳科学の進展も期待されています。しかし著者はここで、何を問うべきか、有効な問いを見つめることの大切さも指摘します。
  第二部では、著名な物理学者でファンも多い米沢富美子氏との対談を収めます。本書全体をつらぬく〈偶然〉と〈必然〉を軸とする生命科学者と物理学者との対話は、大変刺激的です。
 本書は雑誌『科学』連載「生命の思想」を単行本化するものです。
第一部
 第1章 幸福感の生物学
 第2章 ゲノム帝国主義
 第3章 有限のゲノムの壁を超える仕組み I──流動性
 第4章 有限のゲノムの壁を超える仕組み II──時空間の階層性
 第5章 ゲノムに刻まれる免疫系の〈記憶〉
 第6章 内なる無限──増え続ける生物種
 第7章 生・老・病・死
 第8章 がん、細胞と個体の悩ましき相克
 第9章 心の理解への長い道
 第10章 生命科学の未来

第二部
 生命科学と物理学の対話  〈対談〉米沢富美子
本庶 佑(ほんじょ たすく)
1942年生まれ.京都大学医学部教授,同医学部長・医学研究科長,日本学術振興会学術システム研究センター所長を歴任.医学博士.専攻は分子生物学,免疫学.現在,京都大学大学院医学研究科寄附講座客員教授(免疫ゲノム医学講座),内閣府総合科学技術会議議員.共著書として『幸福と医学』,『生命の未来を語る』,編書として『岩波講座 現代医学の基礎8 免疫と血液の科学』(以上,岩波書店).
ページトップへ戻る