岩波科学ライブラリー 128

こんどこそ! わかる数学

数学が苦手だったという著者が,多くの人のもつ数学イメージを変えたいと思い立って書いたユニークな本.

こんどこそ! わかる数学
著者 新井 紀子
ジャンル 書籍 > 単行本
書籍 > 自然科学書
書籍 > シリーズ・講座・全集
書籍 > 岩波科学ライブラリー > 数学
日本十進分類 > 自然科学
シリーズ 岩波科学ライブラリー
刊行日 2007/02/06
ISBN 9784000074681
Cコード 0341
体裁 B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 134頁
在庫 品切れ
小学校・中学校時代には,算数・数学に興味関心を持つどころか大嫌いだったという著者.それだからこそ,大学は法学部に進んだのに,なぜか予想に反して数学者になってしまう.そんな著者が自身の悲惨な経験を踏まえ「もし中学生に教える機会があれば,こんな教え方をしてみたい」と思い立って書いたのがこの本だ.数学イメージが変わる.

■編集部からのメッセージ

著者の新井先生といえば,「e-教室」の活動でたいへん有名です.インターネットの上で,まったく新しい「学びの場」を実現しようという意欲的な試みです.その一端は,先生のこれまでの著書のなかに,わかりやすく紹介されています.
 そんな新井先生が,「じつは,私も中学生までは数学なんて嫌いだった」というので,こんなふうに教えられたらよかったかな,と思って書かれたのが本書です.
 この本の中で取り上げられた話題は,ふつうの大人なら非常にやさしいと思えることが多いかもしれません.しかし,きちんとその定義から,またその意味するところから説明しようとすると,どれもそれほど簡単なことではありません.
 しかし,考えてみると,現実の社会において,私たちはふだん気づかないですが,こうした「定義」をしょっちゅう使っています.誰かと会話したり,文書で何かを伝えようとしたりするとき,それが何であるかという「定義」に対して暗黙の共通理解がなければ成り立たないのです.それほど重要な「定義」ですが,そもそもこの語の使い方を学校で習うのは,他ならぬ算数・数学なのです.
 教科書を読み比べてみると,それがよくわかります.算数・数学の教科書では,ほぼどの単元にも定義を意味する「~とは」という言い回しや,「~のことを……といいます」という表現が登場します.中学1年生が最初に習う「正負の数」の単元には,実に10個以上の定義が出てきます.そのような科目は他に例がありません.そして,その定義を使って,論理的に問題を解く,このように,定義すなわち,「とは」の正しい使い方を学ぶのが算数・数学の授業なのです.
 当たり前のことのようですが,ぜひ,そうした目で本書を眺めてみると,知っているはずと思っていることがずいぶん新鮮に見えてきます.
はじめに
1 数学の国語辞典
2 「定義」からはじめよう
3 ところで,数ってなんだっけ?
4 こんなかけ算できる?
5 背理法に挑戦
6 「関係」をつかむ
7 簡単な関係を式にしてみる
8 一次関数を攻略しよう
9 グラフで表わしてみよう
10 逆関数とはどんな関数?
11 牛乳パックのひみつ
12 迷ったら表で乗り越える
13 「ラッキー」を確率ではかる
14 ニセ定理を見破れ(その1)
15 ニセ定理を見破れ(その2)
 
あとがきにかえて――数学質問箱
新井紀子(あらい のりこ)
1962年東京生まれ.一橋大学法学部卒業,イリノイ大学大学院数学科博士課程終了.理学博士.現在は,国立情報学研究所教授および,東京工業大学情報理工学科研究科連携教授.専門は,数理論理学および情報科学.情報共有基盤システム「NetCommons」の開発責任者でもある.主要な著書に『数学にときめく』『ふしぎな無限』(以上,講談社ブルーバックス),『ハッピーになれる算数』『生き抜くための数学入門』(以上,理論社),『ネット上に学びの場を創る』(岩波ブックレット)など.

書評情報

朝日新聞(朝刊) 2007年3月11日

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