抑止力としての憲法

再び立憲主義について

戦後憲法学に近代立憲主義を復権させた著者が,いま再び「近代」への考察を突き詰め,憲法学を問い直す.樋口立憲主義論の到達点.

抑止力としての憲法
著者 樋口 陽一
ジャンル 書籍 > 単行本 > 法律
刊行日 2017/12/14
ISBN 9784000254700
Cコード 0032
体裁 A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 262頁
定価 4,840円
在庫 在庫あり
国政選挙での勝利=「民意」をタテにして進められる強引な政治に抗して,いま「立憲主義」の原理が改めて注目されている.1973年に刊行された最初の著書で,「戦後憲法学」に「近代立憲主義」を復権させた著者が,再び「近代」の構成原理に対する考察を突き詰め,憲法学のあり方を問い直す.著者の立憲主義論の到達点.
はじめに――主題と副題に寄せて
 1 〈再び立憲主義について〉
 2 〈抑止力としての憲法〉

第一章 「知」が「近代」を構想したとき
 第一節 「危機」への知の対応
  Ⅰ 一六世紀と二〇世紀――ホッブズとシュミット
  Ⅱ 第五共和制のlégiste vs 第三帝国のKronjurist?
 第二節 「立憲主義」と「憲法制定権力」――対抗と補完 最近の内外憲法論議の中から
  Ⅰ 「立憲主義」
  Ⅱ 「憲法制定権力」
 第三節 「ルソーの立憲主義」をめぐって――『社会契約論』を副題『国法諸原理』に即して読む
  Ⅰ ルソー立憲主義?
  Ⅱ ルソー権力分立?
  Ⅲ 『国法諸原理』=一般国法学=『国家形態論』としてのルソー

第二章 「近代」が「自由」を制度化したとき
 第一節 「近代」の公理の法学上の再発見とその問題性
  Ⅰ 基本権保護義務論をめぐるドイツと日本
  Ⅱ シュテルン講演から示唆を受けて
  Ⅲ 「共和国」の自由と「国家からの自由」
 第二節 「共和国」=立法中心主義と違憲審査制の「共存」?
  Ⅰ 近代フランスの憲法伝統と違憲審査制の両立――そのむずかしさ
  Ⅱ 「共和国」=立法中心主義への違憲審査制の組み入れ
 第三節 憲法にとっての経済秩序――規範形式と規範内容から見て

第三章 「近代」=「普遍」が「歴史」に向き合うとき
 第一節 法・歴史・記憶
  Ⅰ 「記憶間の戦争」――なぜ
  Ⅱ 「想起」と「忘却」に法がかかわるとき
  Ⅲ 「歴史」と「記憶」
 第二節 「歴史」にからめとられる「共和国」=「市民」?
  Ⅰ 「普遍」としての近代立憲主義
  Ⅱ 「普遍」=人為と「歴史」=自然の綱引き
  Ⅲ 「洋学紳士」の逡巡――「普遍」適用の二重基準?

第四章 学問・政治・憲法のトリアーデ
 第一節 戦後史の中の憲法学
  Ⅰ 前史
  Ⅱ 改憲論への戦後憲法学の対応
 第二節 憲法に対する憲法学の向き合い方
  Ⅰ 価値を疑う知と価値を擁護する知
  Ⅱ 「立憲主義」or/and「民主主義」という問題


あとがき
樋口陽一(ひぐち よういち)
1934年生まれ.憲法専攻.1957年東北大学法学部卒業.東北大学法学部,パリ第2大学,東京大学法学部,上智大学法学部,早稲田大学法学部などで教授・客員教授を歴任.日本学士院会員.
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