ロシア革命とソ連の世紀 1

世界戦争から革命へ

(全5巻)

帝政末期からソ連初期にいたる変動の全体像を明らかにする.1917年がもつ分水嶺としての意味,ソ連へと引き継がれた諸課題とは.

世界戦争から革命へ
著者 松戸 清裕 , 浅岡 善治 , 池田 嘉郎 , 宇山 智彦 , 中嶋 毅 , 松井 康浩
ジャンル 書籍 > シリーズ・講座・全集 > ロシア革命とソ連の世紀
シリーズ ロシア革命とソ連の世紀
刊行日 2017/06/15
ISBN 9784000282666
Cコード 0322
体裁 A5 ・ 338頁
定価 4,070円
在庫 在庫あり

20世紀初頭,近代化の岐路にあった旧体制下のロシア帝国を世界戦争の大渦が飲みこんだ.第1巻では帝政末期からソ連初期にいたる変動の全体像を明らかにする.1917年がもつ分水嶺としての意味,帝政期からソ連へと引き継がれた諸課題にも目配りをする.史上初の社会主義国家を生んだロシア革命とは,いったい何だったのか──.

総 説 ロシア革命とは何だったのか……………池田嘉郎
 一 一〇〇年が過ぎて
 二 ロシア革命はどのように語られてきたのか
 三 革命の語りの解体


Ⅰ 岐路に立つロシア帝国

1 経済のグローバル化とロシア帝国……………左近幸村
 はじめに
 一 第一次世界大戦前の「グローバル化」
 二 交通網の発達
 三 移民
 四 物流
 五 金融
 おわりに

2 ネイション形成という課題とその困難な道――日露戦争・第一次革命と自由主義者―― ……………土屋好古
 はじめに
 一 帝国vs国民国家
 二 日露戦争の衝撃――ネイション形成という課題の浮上
 三 第一次革命における自由主義運動の展開
 四 市民的ネイション形成と民族という難題
 むすびにかえて

3 総力戦社会再訪――第一次世界大戦とロシア帝政の崩壊―― ……………松里公孝
 一 総力戦としての第一次世界大戦
 二 近代化と総力戦体制
 三 チャンス、転化、定着
 四 社会事業への依存と集権化努力の欠如
 五 総力戦と国民建設
 まとめ


Ⅱ 動乱と再生

4 二月革命――帝政エリートの反乱―― ……………アンドレイ・ニコラーエフ(池田嘉郎 訳)
 一 ドゥーマ革命としての二月革命
 二 革命の困難な課題
 三 権力の枠組
 おわりに

5 赤い動乱――十月革命とは何だったのか―― ……………ウラジーミル・ブルダコーフ(池田嘉郎、李優大 訳)
 一 ロシア革命の要因
 二 二月革命
 三 帝国のシステムとしての崩壊
 四 十月革命

6 ボリシェヴィキ政権の制度と言説……………池田嘉郎
 一 コミューン国家のユートピア
 二 中央国家機関
 三 ソヴィエト
 四 共産党

7 ロシア革命と極東の国際政治――日露関係から日ソ関係への転換―― ……………ヤロスラブ・シュラトフ
 一 ソヴィエト政権発足以降の対日姿勢
 二 「宣言外交」から本格的な対日政策へ
 三 緩衝国の形成過程とアクター間の対立構造
 四 極東共和国の対外政策
 五 対日アプローチをめぐる政争
 六 本格的な対日交渉を経てソヴィエト・ロシアへ編入


Ⅲ 新しい社会の模索

8 ソヴィエト政権と農民――「労農同盟」理念とネップの運命―― ……………浅岡善治
 はじめに
 一 初期ネップの歩み
 二 「農村からの攻勢」と「新コース」
 三 後期ネップと「農村への攻勢」
 おわりに

9 社会刷新の思想としての計画化――ロシアにおけるその形成過程と思想的源流―― ……………鈴木義一
 はじめに
 一 経済・社会への国家介入と計画化
 二 ロシアにおける計画化論の思想的源流
 三 ソヴィエト・ロシアにおける計画化論の形成
 おわりに

10 ネップのソ連と亡命ロシア……………中嶋毅
 はじめに
 一 「在外ロシア?の形成と発展
 二 ネップへの転換と亡命ロシア世界の変化――道標転換派の登場
 三 道標転換派とソ連政治社会
 おわりに

【コラム】
a 帝政末期の社会とツァーリの表象……………巽由樹子
b 革命ロシアと世界のユダヤ人……………鶴見太郎
c ハンガリー革命……………辻河典子
d シベリア出兵と極東共和国……………井竿富雄
e ユーラシア主義とソ連……………浜由樹子

関連略年表
索 引
●編集委員
松戸清裕(まつど・きよひろ)1967年生.北海学園大学法学部教授.ソ連史.
浅岡善治(あさおか・ぜんじ)1972年生.東北大学大学院文学研究科准教授.ロシア近現代史.
池田嘉郎(いけだ・よしろう)*本巻責任編集 1971年生.東京大学大学院人文社会系研究科准教授.ロシア近現代史.
宇山智彦(うやま・ともひこ)1967年生.北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授.中央ユーラシア近現代史.
中嶋毅(なかしま・たけし)1960年生.首都大学東京大学院人文科学研究科教授.ロシア近現代史,在外ロシア史.
松井康浩(まつい・やすひろ)1960年生.九州大学比較社会文化研究院教授.政治社会史,国際関係論.

●執筆者・訳者一覧
左近幸村(さこん・ゆきむら)新潟大学研究推進機構超域学術院准教授.経済史,ロシア史.
土屋好古(つちや・よしふる)日本大学文理学部教授.ロシア近代史.
松里公孝(まつざと・きみたか)東京大学大学院法学政治学研究科教授.旧社会主義諸国の政治と歴史.
アンドレイ・ニコラーエフ(Николаев, Андрей Борисович)ロシア国立教育大学歴史・社会科学学部教授.ロシア革命史.
ウラジーミル・ブルダコーフ(Булдаков, Владимир Прохорович)ロシア科学アカデミー・ロシア史研究所主任研究員.ロシア近現代史.
ヤロスラブ・シュラトフ(Шулатов, Ярослав Александрович)神戸大学大学院国際文化学研究科准教授.日本・ロシア外交史,国際関係史.
鈴木義一(すずき・よしかず)東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授.ロシア・旧ソ連諸国地域研究.
巽由樹子(たつみ・ゆきこ)東京外国語大学大学院総合国際学研究院講師.ロシア近代史,出版文化史.
鶴見太郎(つるみ・たろう)東京大学大学院総合文化研究科准教授.社会学,ロシア・ユダヤ史.
辻河典子(つじかわ・のりこ)近畿大学文芸学部講師.ハンガリー・中央ヨーロッパ近現代史.
井竿富雄(いざお・とみお)山口県立大学国際文化学部教授.シベリア出兵,日本政治外交史.
浜由樹子(はま・ゆきこ)津田塾大学国際関係研究所研究員.ロシア研究,国際関係史
李優大(り・ゆうだい)東京大学大学院法学政治学研究科修士課程在学.中央アジア近現代史.

書評情報

日本経済新聞(朝刊) 2017年12月9日
毎日新聞(朝刊) 2017年12月3日
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