吉田松陰の時代

幕末維新前夜の激変する時勢を生きた青年兵学者・松陰.その思索と行動の転変を克明に跡づけ,嘉永~安政の時代像を鮮やかに描く.

吉田松陰の時代
著者 須田 努
通し番号 105
ジャンル 書籍 > 岩波現代全書 > 歴史・伝記
刊行日 2017/07/19
ISBN 9784000292054
Cコード 0321
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 234頁
在庫 品切れ
幕末維新前夜,危機的状況に過敏に反応し転変しつつ生きた「時勢」の人・松陰.山鹿流兵学師範としての自立から死に至るまでの10年間,彼はどこへ行き,何を見て,誰と語らい,どう時代と対峙したのか.その思索と行動を克明に跡づけ,その実像に迫るとともに,彼の生きた嘉永~安政期の時代像を問い直す.
はじめに

第1章 「山鹿流兵学師範」、修業の日々──茫漠とした危機意識の中で
 1 村田清風による長州藩兵制改革
 2 青年兵学者・松陰の登場
 3 「北浦」台場視察の経験
 4 平戸・長崎留学

第2章 洋式兵学への傾斜と苦悩──郷土防禦から国防へ
 1 江戸留学のはじまり
 2 四人の師──素水・艮斎・茶渓・象山
 3 北限の地へ──東北地域巡見踏査
 4 ペリー来航の衝撃
 5 『将及私言』の意味
 6 兵学者としての限界

第3章 「狂夫」としての思想──最後の六年間の意味
 1 最後の六年をどうみるか
 2 安政元年──歴史への回帰と「国体」理解
 3 安政二・三年──『海国図志』読了と『孟子』講読
 4 安政四年──松下村塾での平穏な日々
 5 安政五年(1)──日米修好通商条約調印を受けて
 6 安政五年(2)──老中襲撃計画と「要駕策」
 7 安政期に組み立てられた朝鮮侵攻論
 8 安政六年──「至誠」の行き着くところ
 9 最後の「至誠」

おわりに
文献一覧
あとがき 
須田努(すだ つとむ)
1959年生まれ.明治大学文学部卒業.早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了.博士(文学).現在,明治大学情報コミュニケーション学部教授.専攻は日本近世・近代史,民衆運動史,社会文化史.
著書に『「悪党」の一九世紀』『イコンの崩壊まで』(青木書店),『幕末の世直し万人の戦争状態』(吉川弘文館),『三遊亭円朝と民衆世界』(有志舎),『薩摩・朝鮮陶工村の四百年』『現代〈いま〉を生きる日本史』(ともに共著,岩波書店),『比較史的にみた近世日本』(編著,東京堂出版)などがある.

書評情報

歴史評論 2018年9月号(第821号)
日本歴史 2017年11月号
公明新聞 2017年10月9日
週刊読書人 2017年9月29日
東京新聞 2017年9月24日
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