グローバル化する靖国問題

東南アジアからの問い

靖国問題がアジア全域の歴史問題へと変容してゆく過程を,東南アジア各国の新聞報道の変遷を通して検証する.

グローバル化する靖国問題
著者 早瀬 晋三
通し番号 113
ジャンル 書籍 > 岩波現代全書 > 歴史・伝記
刊行日 2018/03/15
ISBN 9784000292139
Cコード 0321
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 254頁
定価 2,420円
在庫 在庫あり
日中・日韓の歴史問題は二国間にとどまらない世界規模の問題になりつつある――八〇年代に端を発する靖国問題が,「慰安婦」や領土問題などとも連動しながらアジア全域の歴史問題に変容してゆく過程を,東南アジア各国の(英字)新聞報道の論調の変遷を辿りながら検証し,未来志向の歴史認識の共有と問題解決の可能性を論じる.
はじめに――東アジアのなかの日中・日韓歴史問題

第1章 靖国問題のはじまり――中曽根首相の参拝と中国・韓国の反発
 はじめに
 1 政教分離問題から歴史問題へ―― 一九八五年中曽根首相の靖国神社参拝
 2 冷戦の終焉と残存する枠組み―― 一九九六年橋本首相の靖国神社参拝

第2章 二国間問題から地域問題へ――日本の経済的退潮と中国の台頭
 はじめに
 1 東南アジアの地域的統合の深化と靖国問題への関心の高まり――二〇〇一‐二〇〇四年小泉首相の靖国神社参拝
 2 呼びおこされる「戦争の記憶」――二〇〇五年の中国の反日デモ
 3 日中のパワーバランスの変化――二〇〇五‐二〇〇六年小泉首相の靖国神社参拝

第3章 グローバル化する靖国問題――領土問題と歴史問題の結合
 はじめに
 1 結びつく領土問題と歴史問題――二〇一〇年の尖閣諸島沖での中国漁船衝突
 2 二〇一二年の尖閣諸島の日本「国有化」
 3 崩れるパワーバランスとアメリカの介入――二〇一三年安倍首相の靖国神社参拝
 4 右傾化への危惧と中国への牽制としての期待――二〇一五年の平和安全法制成立

終 章 東アジアのなかの日本

 巻末資料 アセアン諸国 対日本・対中国輸出入貿易(二〇〇一‐二〇一五年)
 参考文献
 注
 あとがき
 アセアン・日本・中国・韓国
 関連年表/索引
早瀬晋三(はやせ しんぞう)
1955年岡山県津山市生まれ.東京大学文学部東洋史学科卒業.西豪州マードック大学Ph.D(.歴史学).現在早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授.海域東南アジア民族史,近現代アジア・日本関係史.
主要著書:『フィリピン近現代史のなかの日本人――植民地社会の形成と移民・商品』(東京大学出版会,2012年),『マンダラ国家から国民国家へ――東南アジア史のなかの第一次世界大戦』(人文書院,2012年),『歴史空間としての海域を歩く』(法政大学出版局,2008年),『戦争の記憶を歩く東南アジアのいま』(岩波書店,2007年),『歴史研究と地域研究のはざまで――フィリピン史で論文を書くとき』(法政大学出版局,2004年),『海域イスラーム社会の歴史――ミンダナオ・エスノヒストリー』(岩波書店,2003年,第20回「大平正芳記念賞」受賞),『「ベンゲット移民」の虚像と実像――近代日本・東南アジア関係史の一考察』(同文舘,1989年)など.

書評情報

季論21 第41号(2018年夏号)
朝日新聞(朝刊) 2018年6月9日
公明新聞 2018年6月4日

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