岩波科学ライブラリー 255

難病にいどむ遺伝子治療

原因がわからず治療法もなかった遺伝性の難病.工夫された遺伝子治療によって見えてきた希望を綴る.

難病にいどむ遺伝子治療
著者 小長谷 正明
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 岩波科学ライブラリー
書籍 > 岩波科学ライブラリー > 生命・医学
シリーズ 岩波科学ライブラリー
刊行日 2016/11/09
ISBN 9784000296557
Cコード 0347
体裁 B6 ・ 138頁
在庫 品切れ
原因がわからず治療法もないなかで患者と家族を苦しめてきた遺伝性の難病.医学の進歩によって理解がすすみ,原因となる遺伝子がわかっても,なかなか治療に結びつかなかった.ところが,近年,いくつかの病気では,より工夫された遺伝子治療によって,症状を軽減する希望が出てきた.豊富な臨床体験や,歴史的エピソードを交えながら,発見の臨場感をこめて綴る.


■編集部からのメッセージ
 著者の小長谷さんが神経内科の医師になりたてのころ,筋ジストロフィー(筋ジス)の患者さんは成人式を迎えるか迎えないかという若さで亡くなっていました.筋ジスは,体中の筋肉の細胞が徐々にこわれていく難病です.その後,小型人工呼吸器が利用できるようになり,今では40代,50代まで生きられるようになりましたが,根本的治療への挑戦は続いています.
 筋ジスは,筋細胞の損傷を防ぐジストロフィンというタンパクが遺伝子変異によって作られないために起こります.そこで,遺伝子治療で必要なタンパクを作れるようにしよう,という戦略で治療法の開発が進んでいます.
 筋ジスのほか,パーキンソン病,ハンチントン病,筋萎縮性側索硬化症(ALS),球脊髄性筋萎縮症といった神経・筋肉の難病をこの本では取り上げます.病気の解明の歴史,そして治療法の進歩を,著者自身と先人のエピソードをふんだんにまじえて語ります.
はじめに
1 神経内科で出会った難病
2 筋肉がこわれていく――筋ジストロフィー
3 遺伝のしくみ
4 筋ジス犬が歩いた――ジストロフィンと遺伝子治療
5 凍りついた体――パーキンソン病
6 遺伝子の魔女を狩る――ハンチントン病
7 究極の難病――筋萎縮性側索硬化症(ALS)
8 明治日本で発見された難病――球脊髄性筋萎縮症
あとがき
文献
小長谷正明(こながや まさあき)
1949年生まれ.1975年名古屋大学医学部卒業.1979年名古屋大学大学院医学専攻科博士課程修了.専攻は神経内科学.
現在,国立病院機構鈴鹿病院長.
医学博士,神経内科専門医,認知症学会専門医,内科学会認定医,名古屋大学医学部併任講師,藤田保健衛生大学客員教授,愛知医科大学客員教授.
著書に『医学探偵の歴史事件簿』 『医学探偵の歴史事件簿 ファイル2』 『脳のはたらきがわかる本』 『神経内科』(以上,岩波書店)ほか.

同じシリーズの書籍

ページトップへ戻る