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岩波科学ライブラリー

歌うカタツムリ

進化とらせんの物語

行きつ戻りつしながらも前進していく研究の営みと,カタツムリの進化を重ねた壮大な歴史絵巻.

歌うカタツムリ
著者 千葉 聡
通し番号 262
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 岩波科学ライブラリー
書籍 > 岩波科学ライブラリー > 生態・環境
シリーズ 岩波科学ライブラリー
刊行日 2017/06/13
ISBN 9784000296625
Cコード 0345
体裁 B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 206頁
在庫 品切れ
なんだか地味でパッとしないカタツムリ.しかし,生物進化の研究においては欠くべからざる華だった.偶然と必然,連続と不連続…….木村資生やグールドらによる論争の歴史をたどりつつ,行きつ戻りつしながらもじりじりと前進していく研究の営みと,カタツムリの進化を重ねて描き,らせん状の壮大な歴史絵巻を織り上げる.

■ 書評より 


これほどの書き手をこれまで放っておいたとは、自然系編集者はこぞって反省すべきだろう。逆に岩波の担当者は慧眼だった。

塚谷裕一さん評(植物学者/東京大学教授,読売新聞2017年8月6日)

 

文章は闊達だが、周到に構成された進化論研究史になっている。ぐいぐい引き込まれていくうちに、読了した。

海部宣男さん評(国立天文台名誉教授,毎日新聞2017年8月6日)

 

進化研究全体の発展という軸を加えて、ひとつの大きならせんとして描ききった。(中略)唯一無二のオリジナリティが、燦然と輝いている。

佐倉統さん評(東京大学教授,朝日新聞2017年8月27日)



■著者からのメッセージ

 生物学者は往々にして、ひとつのグループの生き物を一途に、マニアックに研究することがあります。それはなぜか。その生き物に特別な魅力や不思議を感じるから? もちろんそれも理由のひとつです。しかし実は、その生き物の研究を通して自然の普遍的な原理を見出したい、という壮大な意欲や使命感に駆られている場合が多いのです。ローカルを極めると、グローバルな世界が見える、ガラパゴスな世界を極めると、地球全体が見える、と信じる研究者にとって扱う生き物は、自然と生命現象の「モデル」なのです。しかしこれは、なかなか理解が難しい。
 そこで本書では、カタツムリの進化の研究、という限りなくマニアックでローカルな世界から、どれだけグローバルな物の見方が導かれるか、というもくろみに挑戦しました。だから本書では、「カタツムリ」が進化という大きな謎に迫るための「モデル」であるとともに、「カタツムリの進化の研究」自体が、ローカルとグローバル、局所と普遍の関係を理解するための、ひとつの「モデル」です。
(「あとがき」より)


■参考・引用文献

 »PDFファイル(2018年10月更新)
プロローグ
1 歌うカタツムリ
2 選択と偶然
3 大蝸牛論争
4 日暮れて道遠し
5 自然はしばしば複雑である
6 進化の小宇宙
7 貝と麻雀
8 東洋のガラパゴス
9 一枚のコイン
エピローグ
あとがき

カバーカット=菊谷詩子
千葉 聡(ちば さとし)
東北大学東北アジア研究センター教授,東北大学大学院生命科学研究科教授(兼任).
1960年生まれ.東京大学大学院理学系研究科博士課程修了.静岡大学助手,東北大学准教授などを経て現職.専門は進化生物学と生態学.
大学院修士課程でカタマイマイに出会い,小笠原諸島を出発点に,北はシベリア,南はニュージーランドまで,世界中のカタツムリを相手に研究を進める.
著書に『生物多様性と生態学』(朝倉書店,共著)など.

書評情報

朝日新聞(朝刊) 2017年12月8日
毎日新聞(夕刊) 2017年12月6日
毎日新聞(夕刊) 2017年11月7日
毎日新聞(朝刊) 2017年11月3日
しんぶん赤旗 2017年9月17日
世界日報 2017年9月17日
朝日新聞(朝刊) 2017年8月27日
プレジデント 2017年9月4日号
読売新聞(朝刊) 2017年8月6日
毎日新聞(朝刊) 2017年8月6日
日経サイエンス 2017年9月号

受賞情報

第71回毎日出版文化賞〔自然科学部門〕(2017年)

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