対訳 ディキンソン詩集

アメリカ詩人選(3)

強固な自我と厳しい抑制を斬新な発想でうたいあげた千数百篇の詩の中から,50篇を精選.ディキンソンの魅力を堪能できる1冊.

対訳 ディキンソン詩集
著者 亀井 俊介
通し番号 赤310-1
ジャンル 書籍 > 岩波文庫 > 赤(外国文学/アメリカ)
日本十進分類 > 文学
刊行日 1998/11/16
ISBN 9784003231012
Cコード 0198
体裁 文庫 ・ 並製 ・ カバー ・ 176頁
定価 693円
在庫 在庫あり
生前,わずか10篇の詩を発表しただけで,無名のまま生涯を終えたエミリー・ディキンソン(1830-86).没後発見された千数百篇にのぼる詩によって,今日アメリカの生んだ最もすぐれた詩人の1人に数えられるに至った.「夢をはらむ孤独者」とよばれるディキンソンの傑作50篇を懇切な注で堪能できる待望の1冊.


■内容紹介
 エミリ・ディキンソンEmily Dickinsonは,アメリカの北東部,ニュー・イングランドの田舎町に生まれ育ち,その外に出ることは滅多になかった.人生のなかばからは,家の外に出ることすらなくなってしまった.そして詩を書いていたのだが,生前に印刷されたのは10篇だけ.それもすべて匿名で,自分からすすんで発表した詩は1編もなかったと思われる.だから,もちろん,詩人としてはまったく無名だった.世間の人はその存在も知らなかった.
 ところが,いまや,彼女がアメリカの生んだ最高の女性詩人であることは,広く認められている.いや「女性」などという限定をとっぱらっても,彼女がウォルト・ホイットマンWalt Whitmanと並んで,アメリカを代表する詩人であることに,異論をはさむ人はほとんどいないだろう.
(「まえがき」より)
まえがき

1 ‘Success is counted sweetest’
 成功をもっとも心地よく思うのは

2 ‘Exultation is the going’
 歓喜とは出て行くこと

3 ‘I never hear the word “escape”’
 「脱走」という言葉を聞くと

4 ‘For each ecstatic instant’
 法悦の一瞬ごとに

5 ‘To fight along , is very brave―’
 大声あげて戦うことは,とても勇ましい――

6 ‘Besides the Autumn poets sing’
 詩人たちのうたう秋のほかに

7 ‘Water, is taught by thirst.’
 水は,のどの渇きが教えてくれる

8 ‘A Wounded Deer― leapshighest ―’
 手負いの鹿は――もっとも高く跳び上がる――

9 ‘If I shouldn't be alive’
 私がもう生きていなかったら

10 ‘I taste a liquor never brewed―’
 わたしは酌む,人が醸造したことのない酒を――

11 ‘Safe in their Albaster Cambers―’
 雪花石膏の部屋で安らかに――

12 ‘She sweeps with many-colored Brooms―’
 彼女はあやなす色の箒で掃く――

13 ‘Breezing in Gold a d quenching in Purple’
 金色に燃え上がり紫に沈み

14 ‘I like a look of Agony,’
 わたしは苦悶の表情が好き

15 ‘I held a jewel in my fingers―’
 わたしは手に宝石をにぎりしめ――

16 ‘why ― do they shut Me out of Heaven ?’
 なぜ――あの方々はわたくしを天国から締め出すのでしょう?

17 ‘Wild Night ― Wild Nights !’
 嵐の夜――荒らしの夜!

18 ‘“Hope” is the thing with feathers’
 「希望」は羽根をつけた生き物――

19 ‘There's a certain Slant of ligit’
 斜めに差し込む光があります

20 ‘I felt a Funearal, in my Brain,’
 わたしは葬式を感じた,頭の中に

21 ‘I'm Nobody ! Who are you ?’
 わたしは誰でもない人! あなたは誰?

22 ‘The Soul selects her own Society ―’
 魂は自分の社会を選ぶ――

23 ‘Some Keep the sabbath going to Church―’
 教会へ通って安息日を守る人がいます――

24 ‘A Bird came down the walk ―’
 小鳥が道をやってきた――

25 ‘The Grass so little has to do―’
 草はなすべきことがあんまりない――

26 ‘I know that He exests.’
 分かっている,あの方がちゃんといらっしゃることは

27 ‘After great pain, a formal feeling comes―’
 激しい苦痛のあと,形式化した感情が生まれる――

28 ‘There's been a Death, in the oppsite House,’
 お向かいの家に,死人が出た

29 ‘I never felt at Home ― Below ―’
 わたしはくつろいだことがありません――地上では――

30 ‘This is my letter to the Opposite House,’
 これは世界にあてたわたしの手紙です

31 ‘This was a Poet ― It is That’
 これが詩人というもの――詩人とは

32 ‘I died for Beauty ― but was scarce’
 わたしは「美」のために死んだ――が

33 ‘A Wife ― at Daybreak I shall be ―’
 人妻に――一夜開けたらわたしはなります――

34 ‘I heard a Fly buzz ― when I died ―’
 蠅がうなるのが聞こえた――わたしが死ぬとき――

35 ‘This World is not Cnclusion.’
 この世界で終わりではない

36 ‘If you were coming in the Fall,’
 もしあなたが秋に来て下さるなら

37 ‘I like to see it lap the Miles ―’
 私は見ることが好き,それが何マイルも舐めていき――

38 ‘The Spider holds aSilver Ball’
 蜘蛛は銀の玉をかかえる

39 ‘Because I could not stop for Death ―’
 わたしは「死」のために止まれなかったので――

40 ‘The Poets light but Lamps ―’
 詩人はランプに火をともすだけ――

41 ‘A narrow Fellow in the Grass’
 細長いやつが草むらを

42 ‘That such have died enable Us’
 あのような方たちが死んだということは

43 ‘I never saw a Moor ―’
 私は荒野を見たことがない――

44 ‘Further in summer than the Birds’
 鳥たちよりもさらに夏おそく

45 ‘Tell all the Truth but tell it slant ―’
 真実をそっくり語りなさい,しかし斜めに語りなさい――

46 ‘A word is dead’
 ことばは死んだ

47 ‘The Spider as an Artist’
 蜘蛛は芸術家として

48 ‘As imperceptibly as Grief’
 悲しみのようにひそやかに

49 ‘The Heart has many Doors ’
 心にはたくさんのドアがあります――

50 ‘Elysium isi as far as to’
 極楽までの距離なんて.

Index of First Lines
 あとがき

書評情報

東京新聞(夕刊) 2017年8月21日
日本経済新聞(夕刊) 2015年1月28日
書評空間 2013年7月28日掲載
朝日新聞(be) 2011年9月3日
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