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和漢診療学

あたらしい漢方

人体は部品の寄せ集めではないとの観点から診療にあたる著者が,漢方と西洋医学の叡智を統合した和漢診療学を提案.

和漢診療学
著者 寺澤 捷年
通し番号 新赤版 1574
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 福祉・医療
刊行日 2015/11/20
ISBN 9784004315742
Cコード 0247
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 238頁
在庫 在庫僅少
目の具合が悪いときには腹をみる.ひどい汗かきと膝痛は一つの漢方方剤で一挙に解消.人体は部品の寄せ集めではないとの観点から,全体性の中で部分をみることを日々の診療で実践している著者が,漢方と西洋医学の叡智を統合した和漢診療学を提案.長年の臨床と研究から得た患者を本当に幸せにする新しい医療の姿を綴る.
はじめに

第一章 診療室の一日
 一 頭痛と冷え症
 二 糖尿病性網膜症
 三 ふくろう症候群
 四 大動脈弁置換術の前後
 五 シェーグレン症候群
 六 慢性骨髄性白血病
 七 書ききれないほどの不具合
 八 下肢の浮腫と抑うつ気分
 九 やる気が出ない若年寄
 一〇 膵臓がん術後の食欲不振
 一一 虚弱を絵に描いたような冷え症
 一二 唄を忘れたカナリア、過敏性腸症候群
 一三 くりかえす原因不明の上腹部痛

第二章 和漢診療学とは何か
 一 漢方医学の叡智と西洋医学の科学的研究
 二 【具体例1】胃腸薬が片頭痛を治す
 三 【具体例2】インフルエンザのあらたな治療戦略
 四 【具体例3】腹部のサイン

第三章 漢方医学の病態のとらえかた
 一 気の思想と病態、気血水論
 気の思想とは/気虚/気鬱/気逆/血虚/気血両虚/瘀血/水滞/津液枯燥
 二 五臓論
 肝臓/心臓/脾臓/肺臓/腎臓
 三 陰陽論
 六病位/虚実

第四章 漢方医学の診察法
 一 四診という診察
 望診/聞診/問診
  二 切 診
 脈診/腹診/背診

第五章 漢方薬の成り立ちと特徴
 一 生 薬
 漢方と生薬/性味/陰陽論による治療
 二 漢方方剤
 方剤とは何か/生薬の組み合わせで変わる!/葛根湯/生薬分析の技術
 三 上面作戦
 瘀血の研究/漢方のあらたな臨床応用
 四 利水剤と最先端の研究
 コンパートメント/漢方の利水剤に科学の光/緑内障治療への可能性/再び「ふくろう症候群」
 五 方証相対論
 柴胡桂枝湯の証/方証相対論
 六 臨床比較試験
 漢方エキス製剤の保険適用/臨床比較試験をおこなう
 七 漢方薬の副作用
 薬剤性の間質性肺炎/偽性アルドステロン症

第六章 日本における漢方の歴史
 一 わたしの歩み
 医学教育のなかの漢方/わたしはどのように学んだのか
 二 漢方医学の歴史
 三大古典/王莽の功績か/中国から日本へ/宋の時代以降/吉益東洞/明治維新で何が起きたのか

第七章 科学と漢方
 一 科学とは何か
 二 心身二元論
 三 全体性と部分
 四 臨床の現場で考えたこと

終 章 これからの医療と和漢診療学

主要参考文献
あとがき
漢方方剤
重 要 語
寺澤捷年 (てらさわかつとし)
 1944年東京生まれ.1963年都立両国高校卒業.1970年千葉大学医学部卒業.1979年千葉大学大学院中枢神経解剖学専攻修了,医学博士.1979年富山医科薬科大学附属病院和漢診療部長.同大学医学部和漢診療学講座教授,同大学医学部長,副学長(病院長)などを歴任.2005年千葉大学大学院医学研究院和漢診療学教授.2010年より千葉中央メディカルセンター和漢診療科部長.
 日本神経学会専門医,日本東洋医学会専門医・指導医.
 和漢医薬学会理事長,日本東洋医学会会長,東亜医学協会理事長を歴任.
 著書に『吉益東洞の研究──日本漢方創造の思想』(岩波書店),『症例から学ぶ和漢診療学』(医学書院),『完訳方伎雑誌』(たにぐち書店),『完訳医界之鉄椎』(共著,たにぐち書店)などがある.
 日本東洋医学会賞,和漢医薬学会賞,日本医史学会矢数道明賞他を受賞.

書評情報

読売新聞(朝刊) 2016年1月31日

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