一茶の相続争い

北国街道柏原宿訴訟始末

俳人小林一茶,こと百姓弥太郎.その異母弟との骨肉の争いを語るものは少ない.巧みに隠された「弥太郎」の本性を明るみに出す.

一茶の相続争い
著者 高橋 敏
通し番号 新赤版 1674
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 日本史
刊行日 2017/08/22
ISBN 9784004316749
Cコード 0221
体裁 新書 ・ 206頁
定価 836円
在庫 在庫あり
俳人小林一茶,こと百姓弥太郎.その十年に及ぶ異母弟との骨肉の争いを語るものは少ない.父の遺書を楯に家産分割を強要する冷酷非情の所行.そこに,愛すべき「一茶さん」の姿は微塵もない.親族を不当に貶め,己の哀れな境涯を喧伝する.一茶一流の筆が巧みに覆い隠した「弥太郎」の本性を明るみに出す.
はじめに

第一章 柏原村百姓弥太郎執念の家産分割相続
 1 「取極一札之事」を読み解く
 2 この分割相続は分地制限令の御法度に違反しないのか
 3 弥太郎、父から遺書を獲得する
 4 「熟談書付之事」――分割相続の実行証文

第二章 北国街道柏原宿
 1 北信濃の兵農分離
 2 柏原村と柏原宿
 3 柏原宿と百姓弥太郎

第三章 宿存亡をかけた訴訟に勝つ
 1 明専寺住職不帰依訴訟
 2 川東道塩荷通行差し止め江戸訴訟

第四章 繁栄する柏原宿と不運に見舞われる一茶
 1 富貴なる宿柏原
 2 一茶柏原宿に念願の帰住を果たす
 3 運に見放された一茶
 4 柏原宿の治者中村六左衛門利賓

終 章 一茶死して柏原宿入り口に句碑が建つ

参考文献
あとがき
一茶=弥太郎略年表
高橋 敏(たかはし さとし)
1940年 静岡県に生れる
1965年 東京教育大学大学院文学研究科修士課程修了,文学博士.国立歴史民俗博物館名誉教授,総合研究大学院大学名誉教授
著書―『日本民衆教育史研究』(未来社)
   『近世村落生活文化史序説』(未来社)
   『江戸の訴訟――御宿村一件顚末』(岩波新書)
   『国定忠治』(岩波新書)
   『清水次郎長 幕末維新と博徒の世界』(岩波新書)
   『白隠 江戸の社会変革者』(岩波現代全書)
   『大坂落城異聞 正史と稗史の狭間から』(岩波書店)
   『地方文人の世界』(同成社)
   『江戸の教育力』(ちくま新書)
   『江戸の平和力――戦争をしなかった江戸の250年』(敬文舎) ほか

書評情報

日本農業新聞 2020年3月22日(「四季」欄)
週刊ポスト 2017年9月15日号
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