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会計学の誕生

複式簿記が変えた世界

複式簿記・財務諸表の歴史から会計がわかる

会計学の誕生
著者 渡邉 泉
通し番号 新赤版 1687
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 経済
刊行日 2017/11/21
ISBN 9784004316879
Cコード 0234
体裁 新書 ・ 220頁
在庫 品切れ
会計――現代の必須スキルの一つと言われながらもついつい敬遠してしまう.そこで本書は中世イタリアの商人たちの帳簿,近世オランダや近代イギリスの簿記書を紹介しながら,財務諸表の誕生とその本質を探る.複式簿記から,貸借対照表,損益計算書,キャッシュ・フロー計算書まで,八〇〇年にわたる会計の世界へようこそ.
序 章 複式簿記のルーツを探る――ルネサンス前夜

第1章 複式簿記の誕生――債権債務の備忘録
 1 現存する最古の両替商の勘定記録
 2 帳簿に見るヴェネツィアの商人とフィレンツェの商人
 3 複式簿記の本質と起源論争

第2章 複式簿記の完成――有高計算を帳簿記録で検証
 1 時代を先取ったコルビッチ商会の帳簿(1333‐1338)
 2 損益勘定の発展とビランチオ
 3 複式簿記の完成と現実の利益分配

第3章 世界最初の簿記書とその後の進化――年次決算の確立に向けて
 1 会計史研究のバイブル,パチョーリの『スンマ』(1494)
 2 近代簿記への揺りかご,一七世紀のオランダ
 3 一八世紀イギリスに登場する新しい潮流

第4章 会計学の誕生――決算書類の登場と会計士
 1 情報開示の先駆け,フィンレイ商会の残高帳(1789)
 2 一九世紀イギリス会社法では貸借対照表が損益計算書に先行
 3 公認会計士の登場と会計学の生成

第5章 キャッシュ・フロー計算書――利益はどこに消えたのか
 1 利益の行先を求めたダウライス製鉄会社の比較貸借対照表(1852/1863)
 2 二〇世紀アメリカで熟成される資金計算書
 3 キャッシュ・フロー計算書の登場

終 章 会計の本来の役割――会計学と経済学の違い
 1 時価会計とリーマン・ショック
 2 価格計算の会計学か価値計算の経済学か
 3 会計の原点に立ち帰って

文献解題
あとがき
渡邉泉(わたなべ いずみ)
1943年神戸市に生まれる.関西学院大学商学研究科博士課程満期退学後,大阪経済大学専任講師,助教授,教授をへて,日本会計史学会会長,大阪経済大学学長を歴任.
現在―大阪経済大学名誉教授,商学博士
専攻―会計史
著書―『損益計算史論』『決算会計史論』『損益計算の進化』『会計基礎論(新訂版)』(共編著)『歴史から見る公正価値会計』(編著)(以上,森山書店)『歴史から学ぶ会計』『会計の歴史探訪』『帳簿が語る歴史の真実』(以上,同文舘出版)ほか

書評情報

週刊文春 2018年1月18日号
日経ヴェリタス 2017年12月24~30日号(第51号)
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