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江戸東京の明治維新

江戸の秩序が解体してゆく東京で,人びとは生き延びる道を求めて格闘する.歴史に名を残さぬ人びとの明治維新史.

江戸東京の明治維新
著者 横山 百合子
通し番号 新赤版 1734
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 日本史
刊行日 2018/08/21
ISBN 9784004317340
Cコード 0221
体裁 新書 ・ 212頁
在庫 在庫あり
維新の激動に飲み込まれた江戸.諸大名の一斉帰国で人口は一挙に半減し,百万都市は瞬く間に衰退へと向かう.横行する浮浪士のテロ,流動化する土地と身分.人心は荒廃し怨嗟の声があふれる.江戸の秩序が解体してゆく東京で,人びとは時代の変化に食らいつき,生き延びる道を求めて必死にもがきつづけた.名も残らぬ小さき人々の明治維新史.
はじめに

第一章 江戸から東京へ
 第一節 大名小路の風景
  江戸切絵図「御曲輪内大名小路」/江戸城登城風景図屛風/腰掛茶屋/賑わう内桜田門
 第二節 戦略的な藩邸配置
  「大名小路」藩邸の主/上屋敷,中屋敷,下屋敷の役割/中屋敷の新たな役割
 第三節 江戸の占領統治
  薩摩藩邸浪士の御用盗み/江戸城開城直後の情勢/東京様お酒頂戴/東京城吹上苑拝観
 第四節 荒廃する武家地
  激減する人口/焦る江戸藩邸/帰るに帰れぬ藩士たち
 第五節 新しい屋敷主たち
  公家たちの登場/変貌する大名小路/「東京十二景内桜田」の光景

第二章 東京の旧幕臣たち
 第一節 新政府の悩み
  困難な治安回復/脱籍浮浪士問題/東京の戸籍編成
 第二節 身分の再編という矛盾
  身分制度と新政府/近世の身分とは何か/身分制の解体を考える視点/身分制の再編/明治二年兵制論争/奇兵隊の反乱
 第三節 旧幕臣本多元治の明治維新
  困窮する旧幕臣たち/朝臣化旧幕臣本多元治/土地経営で生計をたてる/土地の引替/混迷する武家地政策/土地獲得の欲望/本所一つ目という場/一つの人民に二つの触頭
第三章 町中に生きる
 第一節 家守たちの町中
   東京府知事の江戸学事始め/二つの役割を負う家守/家守の株化/その日稼ぎの人びと
 第二節 明治の人返し
  四ッ谷伝馬町新一丁目の場合/天皇の食費も削減を/一万人の「物貰いの者」/「家守の町中」の否定
 第三節 路上の明治維新
  床店とは/なぜ路上で店を開けたか/神田柳原土手通り床店/床所持主と床商人/床商人の地税上納運動/床店のゆくえ

第四章 遊廓の明治維新
 第一節 新吉原遊廓と江戸の社会
  東京府知事大久保一翁の伺い書/新吉原遊女町の役と特権/動揺する幕末の遊廓
 第二節 遊廓を支える金融と人身売買
  仏光寺名目金貸付/財としての遊女/商品としての遊女の身体/明治五年芸娼妓解放令
 第三節 遊女いやだ――遊女かしくの闘い
  竹次郎一件/稚拙な結婚嘆願書/政五郎の対応策/菊次郎一件/かしくの願い
 第四節 変容するまなざし
  下層社会を生きる矜持/崩壊する遊廓秩序/「自由意思」の売春/隠売女から淫売女へ

第五章 屠場をめぐる人びと
 第一節 弾左衛門支配の終焉
  関八州えた頭弾左衛門/弾左衛門支配/賤民廃止令
 第二節 牛肉産業のはじまり
  牛肉需要の急増/官許
横山百合子(よこやまゆりこ)
1956年生まれ
1979年東京大学文学部国史学科卒業.神奈川県立高校で社会科教諭として勤務後,1999 年退職.2003年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学.千葉経済大学経済学部教授などを経て,
現在─国立歴史民俗博物館教授
専攻─日本近世史
著書─『明治維新と近世身分制の解体』(山川出版社,2005年)
編著─明治維新史学会編『講座明治維新第9巻明治維新と女性』(有志舎,2015年)

書評情報

毎日新聞(朝刊) 2018年12月2日
読売新聞(夕刊) 2018年11月19日
西日本新聞 2018年10月13日
週刊東洋経済 2018年10月13日号
信濃毎日新聞 2018年10月7日
北海道新聞 2018年9月30日
愛媛新聞 2018年9月30日
熊本日日新聞 2018年9月23日

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