空海

空海の先駆的な思想を、密教研究の第一人者で自らも高野山に暮らす著者が書き記したものから解き明かす

空海
著者 松長 有慶
通し番号 新赤版 1933
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 宗教
刊行日 2022/06/17
ISBN 9784004319337
Cコード 0214
体裁 新書 ・ 254頁
定価 968円
在庫 在庫あり
自然観、無限と有限、対立と融合、自と他。さらには教育理念、国家観。そして生と死……。弘法大師・空海の先駆的な思想を、密教研究の第一人者で、みずからも高野山に暮らす著者が、空海の書き記した多くの書物、手紙などをもとに多角的に解き明かす。ロングセラー『密教』『高野山』に続く、第三弾
一 果てしない宇宙と有限世界
宇宙からの光/宇宙の根源と?がる声・音/無限と有限の世界/仏道修行のカリキュラム/仏教の中での禅定/インド密教の流れ/瑜伽に還る

二 自然観
密教宣布の開始/修禅の願い/高野山に籠る/俗事を避ける/なぜ、深山に籠るのか/山籠りの楽しさ/宝玉を抱いての山籠りはなぜか/大自然に仏の教えが潜む/天地は経典の箱

三 対立と融合
二元の対立/凡夫が仏であると気づく/即身成仏/金胎は対か不二か/個と全体/自・仏・衆生の三心/三種世間と六大説/空海の願文にみる成仏の願い/物にいのちを認める

四 自と他
他者と接する/教判/多元的な価値観/包摂と純化/智と理/師との出遇い/密教の相承/許しを願う/僧尼の堕落について/心と環境

五 読み替え
深い意味の読み込み/文字の読み替え/文章の読み替え/思想の読み替え

六 仏陀の説法
仏陀が語る/真理を仏とする/仏の三身/密教の仏身観/もう一つの四身説/真理が法を説く証拠/法身の説法を受け止める

七 教育理念
綜芸種智院の開設/教育環境/教育内容/教授の招請/教育資金/日本仏教からの提言/混迷の時代の日本仏教の役割/生きものの相互関連性/多元的な価値観/社会奉仕活動

八 国家と民衆
国を護るということ/インドにおける護国思想/中国における護国思想/空海と王権/空海と天皇との交流/四恩説の再検討/宇宙的なひろがりをもつ恩

九 生死観
空海に見る生と死/鬼神がもたらす死/悪鬼の排除/無常の教え/成仏への道/智泉の死/他界浄土/生死の苦からの離脱/精霊の成仏/自身の病気に際して

十 入定信仰
入定とは/高野山で生涯を閉じる/入定留身説/宗教的な伝承の意味/阿字のふるさとに還る/永遠に続く衆生救済の活動

 あとがき
 主要参考文献
 索引
松長有慶(まつなが ゆうけい)
1929年 和歌山県高野山に生まれる
1951年 高野山大学密教学科卒業
1959年 東北大学大学院文学研究科印度学仏教史学科博士課程修了,文学博士(九州大学)
    高野山大学教授,同学長,大本山宝寿院門主,高野山真言宗管長を経て
現在―高野山大学名誉教授,補陀洛院前官
主要著作―『密教』(岩波新書)
     『高野山』(同上)
     『密教の歴史』(平楽寺書店)
     『松長有慶著作集』全5巻(法蔵館)
     『理趣経』(中公文庫)
     『訳注秘蔵宝鑰』等全6冊(空海著作シリーズ)(春秋社)
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