書を楽しもう

完璧な書,へそまがりな書,どちらも魅力あり!

書を楽しもう
著者 魚住 和晃
通し番号 ジュニア新書 420
ジャンル 書籍 > 岩波ジュニア新書 > 趣味・旅行
刊行日 2002/12/20
ISBN 9784005004201
Cコード 0270
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 238頁
在庫 品切れ
書は心の画なりと言われる.書聖・王羲之にはじまる中国の名書家たち,日本の空海,良寛,大石内蔵助,樋口一葉,さらに現代の若い人の書にどんな心が読みとれるのだろうか.魅力を生みだす筆力とは.「書体は草書→行書→楷書と変化したの?」など基礎知識を盛り込んだ,観る人・書く人はもちろん,初心者にも書が楽しくなる本.


■内容紹介

 完璧な書,へそまがりの書,どちらも魅力あり!

 書は苦手と感じる人は多いでしょう.ぼくも子どもの頃,書道教室に通いましたが,苦手意識が強く残っていました.ところが,この本を読むと,「筆の字が下手だから」とか気にする必要のまったくないことがわかります.そして,書も楽しいものだと思えてきます.

 良寛さんや坂本龍馬,田中正造,さらに現代では片岡鶴太郎さんの書をとりあげて,「形でなく,心だよ」と主張しているからです.もちろん,王羲之や空海,一休さんなど「書聖」といわれるような人たちの書も存分に解説しています.筆力はどうして生まれるのかの分析は,「フーム」とうならせてくれます.

 「目からうろこ」がいっぱいつまっていることも,この本を楽しくしています.書体はふつう「楷書がくずれて行書などに変化した」と思われているが,じつは「隷書→行書→楷書」と変化したのだ.また,沈着冷静といわれる大石内蔵助は,書から見るとじつはせかせかしてあわただしい人物だった.騒乱の時代には息もつかせぬ筆致,安定の時代にはゆったりした筆致と,時代の雰囲気が筆致をつくる.これらが,目のうろこを除いてくれます.

 身のまわりにあふれる書を味わい,さらに自分で気軽に心のままに書く.それを楽しむ第一歩として,この本を読んでいただければ幸いです.もうすぐお正月ですしね.(編集部 森光実)
1 まず王羲之を知ろう
2 安定した書跡は心を安らげる
3 筆力はこうして生まれる
4 良寛のへそまがり
5 石に刻した字に見入る
6 書は心の画である

書評情報

毎日新聞(夕刊) 2010年3月8日
読売新聞(朝刊) 2003年2月24日
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