天気ハカセになろう
竜巻は左巻き？
豪雨，快晴，雷，台風，竜巻．天気シェフの日替わり料理につきあう読者に，天気料理のレシピを教えます．
昨日はどしゃぶり，今日は快晴──私たちは毎日，天気シェフのおまかせ料理につきあう運命です．天気シェフは，どうやって，雨や雷，台風，竜巻といった天気の料理を作っているのでしょうか．ベテラン気象学者が，読者を天気の厨房へとご案内します．天気シェフのレシピを知れば，天気ハカセになれること，まちがいなしです．［カラー口絵］
■内容紹介
最近，竜巻，ゲリラ豪雨，「これまでに経験したことのないような大雨」，など，激しい気象現象が報道される機会が多くなっているような気がしませんか．本書は，そういった，具体的な気象現象（天気）から出発して，気象の仕組み，天気のキホンを学ぼう，というものです．
この道50年のベテラン気象学者である著者は，「天気はシェフのおまかせ料理のようなもの」だと言います．そして，「地球の重力と自転の中に，光と水と空気という食材を投げ込んで，こね回したものが天気という料理」なのだと言います．今日はどしゃぶり，明日は晴天，……たしかに私たちは，毎日，いわば，〈天気のシェフ〉が作る日替わり料理に付き合わされる運命と言えます．
そんな私たちを，著者は天気シェフの厨房（対流圏）に案内してくれます．まず，厨房の中をじっくり見学します（1～3章）．次に，雷，竜巻，集中豪雨，台風などの天気料理のレシピを学びます（4～7章）．いずれも，積乱雲が引き起こす激しいな天気です．そのダイナミックな仕組みを学びます．最後に，日常のおだやかな天気をもたらす高気圧・低気圧について学びます（８章）．ここでは日本列島を取り巻く天気のキホンを学ぶことができます．
本書を読んで，あなたも天気ハカセになろう！
１ 天気の素材――空気
月面の足跡／空気の観察／原子と分子／アポロ13号／地球大気中の二酸化炭素／生物と大気／海洋と大気／［コラム アルゴンの発見］
２ 天気の背景――大気圏
海と空の狭間で／気温から大気の高さを推測する／大気圏の高さ／大気層の分類／空気の重さ／アルキメデスの原理／気圧の高度分布／［コラム ピカール三代の冒険］
３ 天気の現場――対流圏
観天望気／偏西風を感じる／大気の中の波／晴天積雲／大気の密度成層／［コラム 温位の導入，十種雲形］
４ 天空の発電所――雷雲
人を驚かせる天気／雷雲の可視化／火災と雷雲の類似性／発火の条件／積乱雲の発生／積乱雲の中にあるもの／発電のしくみ／［コラム 積雲の形］
５ すべてを破壊する風――竜巻
天気シェフのレシピの秘密／渦巻の実験／回転の力学／フライパンの中の塵旋風／竜巻の名前／トルネード／スーパーセル／竜巻は左巻き？／［コラム 都市と気象］
６ 災害をもたらす雨――集中豪雨
経験したことのないような大雨／集中豪雨のプロファイリング／バケツをひっくり返したような雨／降水の最大値／弱い雨と強い雨／豪雨を降らせる方法／A地点の真上で集中豪雨を起こす仕組み／日本の集中豪雨／［コラム まれに起こる現象］
７ 海が育む嵐――台風
台風フルコース／台風は地方名／台風の謎／回転する地面／円筒容器の実験／スピンダウンのメカニズム／台風発達のメカニズム／台風の眼／［コラム 人工衛星と台風］
８ 日常の天気を支配するもの――高低気圧
天気の物差し／高気圧と低気圧／コリオリの力／上空の風に働く力／偏西風の流れ方／高低気圧の発生／気温と南北方向の風／地上天気図の意味／［コラム 気圧と風の関係，高気圧の謎］
あとがき
索引
1941年生まれ．1967年，東京大学大学院理学系研究科修士課程修了．東京大学海洋研究所教授を経て，現在，放送大学客員教授，東京大学名誉教授．初代気象予報士会会長．主な著書に『うずまきがいっぱい』（科学であそぼう15，岩波書店），『自然をつかむ７話』（岩波ジュニア新書）『うずまく大気と海』（共著，岩波ジュニア科学講座９），『地球と宇宙の小事典』（共著，岩波ジュニア新書），『身近な気象学』（共著，放送大学教育振興会）など．
書評情報
天気〔日本気象学会〕 Vol.60 No.9（2013年9月）
東京新聞（朝刊） 2013年8月30日
サンデー毎日 2013年7月14日号
東京新聞（朝刊） 2013年7月1日
てんきすと 第83号（2013年6月）
