詩の寺子屋

詩は言葉のダンスだ.耳や心に残った言葉を集めて,かたまりをつくろう.それが詩になり,自分の心の記録,そして記憶になるんだ.

詩の寺子屋
著者 和合 亮一
通し番号 ジュニア新書 820
ジャンル 書籍 > 岩波ジュニア新書 > 国語・文学
刊行日 2015/12/18
ISBN 9784005008209
Cコード 0292
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 222頁
定価 924円
在庫 在庫あり

詩は言葉のダンスだ.言葉をつなげるだけで,リフレインするだけで,おもしろい詩になる.耳に残った言葉,心に浮かんだ言葉を,毎日書きとめておこう.言葉のかたまりが詩になり,自分の心の記録,そして記憶になる.福島市に住み,3.11以後ツイッター詩を書きつづける詩人・和合さんが,若い人のために「詩の寺子屋」を開きます.

■内容紹介
 福島県郡山市に,60年近くもの長いあいだ,子どもたちの詩を発表しつづけてきた「青い窓の会」という会があります.その詩誌「青い窓」に残る子どもたちの詩が,とても新鮮です.著者の和合さんは「曇りのないまなざしでとらえた純粋な言葉による素描」と表現しています.父母の日常をユーモラスにとらえ,親の事情も考えながら自身の願いを語った詩4編.みなさんの心にはどんな思いが湧きあがってくるでしょうか?
 一章を読んで,なるほど,日常で見たこと・思ったことを率直に書くことでいいんだ,とわかったところで,2章から具体的に詩をつくる方法が説明されていきます.2章では,響きのいい言葉を音楽を奏でるように並べていくことで,詩をつくる練習をします.
 そして3章から本格的なレッスンが展開します.レッスンは語りかけるだけではありません.ワークシートを使って具体的にできるようにしているのが,この本の大きな特徴です.3章の最初に登場するワークシートは,白紙に「5分間で思い浮かぶ言葉・文章を書いてみよう」とだけ書かれています.そこで「青空」「拍手」「約束」の3語が浮かんだとしたら,それをつなげて「拍手が聞こえたような気がしたから約束をしよう 青空に」などの文をつくります.詩の一節ができました.
 5章では,好きな写真や絵をワークシートに貼って,その下に思い浮かぶ印象を書けば,なんとこれが詩になっているのです.
 そんなふうにワークシートに導かれながら,詩をつくっていくのが,この寺子屋のメソッドです.寺子屋ですから,ワークシートはさしずめ「白い半紙」でしょうか.何も持たず,白紙のまま入門して,「白い半紙」に好きな言葉やフレーズを書きこんでいってください.
第1章 子どもたちの詩
曇りのないまなざし/言葉に想いをこめて/相手を思って書く

第2章 和合流、詩の基本
音楽を求めて/言葉の音楽性を楽しむ/響きのいい言葉を集める/土地に触れて浮かんでくる言葉たち/言葉は〈集まる〉

第3章 言葉のかたまりをつくろう――詩を書こう①
言葉が浮かんでくるとき/言葉と言葉が出会うとき/番号をなぜつけるのか?/この言葉がなかったら/心のありかを探す/心の素顔が見える

第4章 言葉をつなげよう――詩を書こう②
自己紹介ワークショップ/言葉のカードをつなげる/詩のつづきを書こう/詩を連ねる/「……と私」の視点で書く

第5章 言葉の橋をかけよう――詩を書こう③
風景に心を映しだす/印象を組みあわせる/詩から図へ,図から詩へ/ 言葉の設計図が新しい建築を生む

第6章 新しいアクション
アクションだ!/光のしずく/ツイッターに詩を投稿/ツイッターとの親和性/ はかり知れない詩の親和力

第7章 「ふるさと」で詩を書こう
芯のある言葉/かたまりを行に分ける/抽象と具象が組みあわさる/ 「ふるさと」を置きかえてみたら……
和合 亮一(わごう りょういち)
 1968年福島市生まれ.詩人,高校教師(国語).福島県教育復興大使.全国で詩作講座や朗読会を開く.
 中原中也賞,晩翠賞,NHK東北文化賞など受賞.
 詩集に『AFTER』『詩ノ黙礼』『詩の礫』など,著書に『ふるさとをあきらめない』『往復書簡 悲しみが言葉をつむぐとき』(共著)などがある.

書評情報

北海道新聞(朝刊) 2016年2月28日
朝日新聞(朝刊) 2016年1月31日
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