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クマゼミから温暖化を考える

クマゼミ増加の原因は,温暖化が進んだせいなのか? 地道な調査・実験から温暖化との関係を明らかにする.

クマゼミから温暖化を考える
著者 沼田 英治
通し番号 ジュニア新書 833
ジャンル 書籍 > 岩波ジュニア新書 > 生物・化学・環境
刊行日 2016/06/21
ISBN 9784005008339
Cコード 0245
体裁 新書 ・ 並製 ・ 186頁
在庫 在庫あり

大阪に生息するセミの7割がクマゼミと言われ,同時に分布域も東へ北へと拡大している.クマゼミ増加の原因は,温暖化にともない冬の寒さが緩和されたせいなのか? はたまた乾燥が進んだことが原因なのか? 地道な調査・実験から温暖化との関係を明らかにする.科学的真理を探究する過程の奥深さと楽しさも味わえる一冊.

 

■内容紹介
 大阪など西日本の都市では,クマゼミが著しく増えています.同時に分布域も東へ,北へと拡大しています.思わぬ場所で,クマゼミの抜け殻を見つけたり,鳴き声をきいたりしてびっくりされた方も読者の中にはいるのではないでしょうか.
 クマゼミ増加の原因は,温暖化にともない冬の寒さが緩和されたせいなのでしょうか? それとも乾燥が進んだことが原因なのでしょうか? 地道な調査・実験から温暖化との関係を見ていきます.科学的心理を探究する過程の奥深さと真理を追求する楽しさを味わえる一冊です.巻末には、本書を読んでもっと幅広くセミや温暖化について知りたくなった人のために「もっと勉強したい人のために」と題して、参考文献を付しました.

はじめに

第1章 近年にみるセミの変化
大阪におけるクマゼミの増加/変化したクマゼミの分布

第2章 クマゼミが引き起こした問題とは
セミによる食害/騒音の問題/光ケーブルの切断

第3章 今、起こっている温暖化とは
地球温暖化とその原因/都市の温暖化とその原因

第4章 温暖化をめぐって
なぜ温暖化の問題は難しいか/温暖化の問題点を誇張する考え/温暖化の問題はないという考え/温暖化をめぐる複雑な背景/わたしの考え

第5章 温暖化と昆虫の変化
温暖化が昆虫に与える影響/温暖化による分布の変化

第6章 セミの研究を始めた経緯
都市問題研究に採択/一生でもっとも危険な時間

第7章 冬の寒さとクマゼミの増加の関係
冬の寒さの緩和/卵の寒さに対する耐性/野外においた卵の孵化

第8章 夏の乾燥とクマゼミの増加の関係
都市の乾燥化/乾燥条件下での孵化

第9章 土の硬さの影響
セミの分布と土の硬さ/幼虫が土に潜る能力

第10章 梅雨に孵化するために
雨季に孵化する重要性/温暖化と梅雨の時期/過去の孵化時期の推定

第11章 クマゼミから見えてきた温暖化
クマゼミの増加と温暖化/温暖化以外の要因/今後の予想/おわりに――わたしが強調したいこと

もっと勉強したい人のために
あとがき
沼田英治(ぬまた ひではる)
1955年生まれ.京都大学理学部卒業,京都大学大学院理学研究科修了(理学博士).大阪市立大学理学研究科教授を経て,現在 京都大学大学院理学研究科教授.昆虫類を主要な研究対象として季節適応の生理学や時間生物学の研究に従事.著書に『生きものは昼夜をよむ――光周性のふしぎ』(岩波ジュニア新書,2000年),編著に『昆虫の時計――分子から野外まで』(北隆館,2014年),『虫たちがいて,ぼくがいた――昆虫と甲殻類の行動』(海游社,1997年),共著に『時間生物学の基礎』(裳華房,2003年),『都会にすむセミたち――温暖化の影響』(海游社,2007年),訳書に『マゴットセラピー――ウジを使った創傷治療』(大阪公立大学出版会,2006年),『動物生理学――環境への適応』(東大出版会,2007年)など.

書評情報

京都新聞 2017年7月23日

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