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上手な脳の使いかた

経験を積むことの重要性,失敗や叱られることの意味,失われた能力を取り戻すしくみ――脳のはたらきを知れば,使い方も見えてくる!

上手な脳の使いかた
著者 岩田 誠
通し番号 ジュニア新書 844
ジャンル 書籍 > 岩波ジュニア新書 > 生活・生き方
日本十進分類 > 自然科学
刊行日 2016/11/18
ISBN 9784005008445
Cコード 0245
体裁 新書 ・ 並製 ・ 196頁
在庫 品切れ

神経細胞同士の伝達をよくすれば,脳を上手に使うことができます.それには,どうすればよいのでしょう? 記憶障害や失語症の権威が,研究の歴史をひもときながら,脳の基本的な構造や記憶のしくみ,経験を積むことや体で覚えることの重要性,上手な休み方や体内時計との関わりなどを通して,わかりやすく解説します.

はじめに

第1章 学びにかかわる脳
 1・1 大脳皮質は分業体制
 脳は大きく三つの部分からなる/ブロードマンの脳地図/言語にかかわる部位/ペンフィールドが調べた各部の役割/はっきりした役割、あいまいな役割
 1・2 記憶にかかわる領域
 大脳辺縁系/大脳基底核/小脳/前頭連合野

第2章 脳は育つ
 2・1 記憶をつくっていく
 脳が育つということ/記憶の三つの種類/エピソード記憶は海馬から/記憶を保持している場所は/意味記憶とエピソード記憶/感情の荷札/手続き記憶/手続き記憶には二種類ある/言語の遺伝子/口に出すことで記憶する/手続き記憶を維持する/記憶のはじまり
 2・2 思考とワーキングメモリー
 認識と思考とのちがい/ワーキングメモリー/ワーキングメモリーの上手な使い方/判断と評価と行動の関係/失敗して覚える
 2・3 言語を獲得する
 のどの構造/どうやって単語を知るか/単語から文へ/文をつくる脳のしくみ/日本人の読み書き能力/ネアンデルタール人はなぜ進歩しなかったのか/言語をもったから進歩した

第3章 脳は可塑的である
 3・1 失語症から回復する
 脳が可塑的であるということ/他の場所が役割を肩代わりする/ブローカ失語/ウェルニッケ失語/肩代わり機能がはたらく
 3・2 神経回路と可塑性
 ニューロンとシナプス/回路が再生するのか?/シナプス効率が変化する/シナプスが消える
 3・3 可塑性と学習との関係
 可塑性研究のはじまり/カンデルの研究/塚原の研究

第4章 脳を育てる学び方
 4・1 現場で学ぶ
 脳を育てる学び方とは/貝の化石を採りに行く/体験学習/これも体験学習/フィールドワーク/答えのない問題こそおもしろい
 4・2 表現活動をして、記憶を整理する
 動物の絵と人間の絵/人間はいつから絵を描きはじめたか?/絵と言語/視覚障害者のイメージ/概念をつかむということ/語呂あわせで丸覚え/表現して連合記憶にする/表現すると、つぎの行動につながる
 4・3 グループで学ぶ
 先生の話を聞くだけでいいのか?/言語とグループ学習/チュートリアル学習/杉田玄白に学ぶ/部活動/ネット学習と批判能力
 4・4 脳を休める
 脳は発熱器官/体内時計/体内時計の上手な使い方/体内時計をまもる/上手に昼寝する/睡眠と脳のはたらき/寝つきをよくするには/夜遅くまでスマホはやらない/結びに
岩田 誠 (いわた まこと)
 1942年生まれ.東京女子医科大学神経内科主任教授,同大学医学部長を経て同大学名誉教授.メディカルクリニック柿の木坂院長.専門は神経内科学,神経心理学.米国神経学会外国人フェロー.仏国立医学アカデミー外国人連絡会員.著書に『脳と音楽』(メディカルレビュー社),『図解雑学脳のしくみ』(ナツメ社),『神経内科医の文学診断』(白水社),『鼻の先から尻尾まで』(中山書店),『臨床医が語る脳とコトバのはなし』(日本評論社)など多数.『見る脳・描く脳』(東京大学出版会)で,毎日出版文化賞受賞.

書評情報

月刊介護保険 2017年1月号
中日新聞 2016年12月18日
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