榎本武揚と明治維新

旧幕臣の描いた近代化

幕末・明治の激動期に「蝦夷共和国」を夢見て戦い,その後,日本の近代化に大きな役割を果たした榎本武揚の波乱に満ちた生涯.

榎本武揚と明治維新
著者 黒瀧 秀久
通し番号 864
ジャンル 書籍 > 岩波ジュニア新書 > 歴史
刊行日 2017/12/20
ISBN 9784005008643
Cコード 0221
体裁 新書 ・ 208頁
在庫 品切れ
幕末から明治にかけて活躍した榎本武揚(1836─1908).激動期にオランダに留学して海外の最新の科学技術を吸収し,「蝦夷共和国」を夢見て箱館戦争を戦い,その後,旧幕臣にもかかわらず新政府にその才知と国際感覚を買われ,北海道開拓や官営八幡製鉄所の設立など殖産興業に大きな役割を果たした.「近代の万能人」の波乱に満ちた生涯を描く.
まえがき

第1章 日本の近代化への目覚め――榎本武揚の世界史
 第1節 帝国主義の時代の幕開け
 第2節 日本の近代化への目覚めと榎本武揚
 第3節 節榎本武揚の生い立ちと長崎海軍伝習所での学び

第2章 国内初オランダ留学での学び――冒険は最良の師である
 第1節 近代科学技術(航海術・蒸気機関学・鉱物学・機械工学・冶金学・化学・電信技術等)を学ぶ
 第2節 プロイセン(ドイツ)のクルップ社での学び(砲術技術)
 第3節 フランスの法律学者・オルトランの『万国海律全書』で国際法を学ぶ
 【日本人で最初にビールを輸入した!?】

第3章 日本近代化の礎として描いた“幻”の「蝦夷共和国」
 第1節 開陽丸艦長として戊辰戦争に参戦
 第2節 「蝦夷共和国」の創設と箱館戦争
 第3節 箱館戦争における敗戦
 第4節 牢獄内で書き綴った『獄中詩』と『開成雑爼』
 【日本で最初の選挙(入れ札)で「蝦夷共和国」総裁】

第4章 北海道開拓における資源調査と土地開発農場経営
 第1節 北海道開拓使と地下資源(石炭・石油)の調査
 第2節 「北辰社」の設立と小樽の土地開発
 第3節 対雁の榎本農場(小作制大農場)とその解放
 【東京農大北海道オホーツクキャンパスと実学創造の原点をオホーツクに実現!!――榎本武揚の実学思想を現代に

第5章 日本の近代化と科学技術立国に向けて――近代の万能人の形成
 第1節 外交交渉の達人として活躍――樺太・千島交換条約,天津条約の締結
 第2節 電信技術の進展に貢献した逓信大臣時代
 第3節 メキシコ殖民に取り組んだ外務大臣時代
 第4節 静岡育英会による私立育英黌農業科の設立
 第5節 殖産興業の実現を目指した農商務大臣時代
 【シベリア横断】

第6章 国家の近代化に尽くす――榎本武揚の再評価
 第1節 学会での諸活動
 第2節 〝瘠我慢の説〟――福沢諭吉への無言の反論
 第3節 榎本武揚の葬儀
 【流星刀に集約された科学技術】

おわりに
あとがき
参考文献一覧
榎本武揚略年表
黒瀧秀久(くろたき ひでひさ)
1957年生まれ.東京農業大学生物産業学部地域産業経営学科教授.博士(農業経済学).専門は,農林経済学,環境経済学.米国ミシガン州立大学農業・自然資源学部客員教授,中国南京農業大学中華文明発展研究院客員教授,日本農業経済学会常務理事,全国農学系学部長会議副会長などを歴任.林業経済学会賞(学術賞)受賞.主な著書『日本の林業と森林環境問題』八朔社(2005年),『弘前藩における山林制度と木材流通構造』北方新社(2005年)など.
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