平面論
一八八〇年代西欧
20世紀の思考風景を決定した表象空間の政治学をめぐる、チャレンジングな論考.
イメージの近代は1880年代に始まる.白紙に残された表象の痕跡,絵画の二次元,そしてスクリーンに投射される光の運動…….さまざまな芸術ジャンルを横断しつつ,20世紀の思考の風景を決定した表象空間の特質とイメージの政治学を明るみに出す.表象の「近代史」に新たな遠近法を導いたチャレンジングな論考.(解説=島田雅彦)
序章 表象空間の地滑り
「近代」的な「イメージ」の出現
「パターン/独創」の構図の無効化
匿名性
無人と蝟集
〈外〉へ
Ⅰ
1 「蝟集空間」
メディアの中の「群衆」
「等距離」と「再現」
「アウラ」を呼吸すること
祈禱師/外科医
2 「無人空間」
もう一つの「イメージ」
「アウラ」の再臨?
「反復性」
死と欠如の空間へ
3 〈像〉と〈貌〉
〈像〉と呆気なさ
謎の隠蔽をめぐる謎
〈貌〉のわけのわからなさ
「芸術」という時代錯誤
4 「現実的なるもの」をめぐって
生と死
遺影と向かい合うこと
数量と強度
「現実」=「死」という命題
「レアリスム」と「近代」
Ⅱ
5 〈枠〉あるいは「イメージ」の自意識
現実のイメージ/イメージの現実
〈枠〉と「世俗化」
「小さな黄色い壁」
まどろみと覚醒
6 鋳型・骰子・ページ
不可能な記号
否定神学の星座
詩,あるいは残留する物質
「場を除いては」
7 辱められた黄金
偉大なる三面記事
「近代」的な錬金術
言語の二重状態
「報道」の脱構築
8 〈面〉あるいは「イメージ」の「場なき場」
書物/新聞
「等身大」に切り取ること
「外なるもの」の回帰
魅入られること
〈貌〉の忘却,〈像〉の磨耗
Ⅲ
9 〈面〉から〈幕〉へ
光を当てること
「投射」の機制
過剰,防禦
内と外の反転,否定性
10 時間の断面
「ショット」という単位
空間と時間の熔接
横断体験の強度
「投射」の罠
11 鏡と幽霊
ナルシシズム・双数性・類似
罅の入った鏡像
「物」
「ものぐるひ」の時空
接吻と夕暮
12 〈幕〉あるいは反= ナルシスの装置
ぺらぺらなもの
紙人形たちの劇
四つの条件,ふたたび
〈幕〉と「大きさのなさ」
〈枠〉の中の〈枠〉
終章 「平面」と「近代」
主題たりえぬ主題
「それ自体」への視線
四つの名前
終ることの終り?
後 記
二〇一二年版のための追記――岩波人文書セレクションに寄せて
「岩波現代文庫」版のための後記
解 説……………島田雅彦
「近代」的な「イメージ」の出現
「パターン/独創」の構図の無効化
匿名性
無人と蝟集
〈外〉へ
Ⅰ
1 「蝟集空間」
メディアの中の「群衆」
「等距離」と「再現」
「アウラ」を呼吸すること
祈禱師/外科医
2 「無人空間」
もう一つの「イメージ」
「アウラ」の再臨?
「反復性」
死と欠如の空間へ
3 〈像〉と〈貌〉
〈像〉と呆気なさ
謎の隠蔽をめぐる謎
〈貌〉のわけのわからなさ
「芸術」という時代錯誤
4 「現実的なるもの」をめぐって
生と死
遺影と向かい合うこと
数量と強度
「現実」=「死」という命題
「レアリスム」と「近代」
Ⅱ
5 〈枠〉あるいは「イメージ」の自意識
現実のイメージ/イメージの現実
〈枠〉と「世俗化」
「小さな黄色い壁」
まどろみと覚醒
6 鋳型・骰子・ページ
不可能な記号
否定神学の星座
詩,あるいは残留する物質
「場を除いては」
7 辱められた黄金
偉大なる三面記事
「近代」的な錬金術
言語の二重状態
「報道」の脱構築
8 〈面〉あるいは「イメージ」の「場なき場」
書物/新聞
「等身大」に切り取ること
「外なるもの」の回帰
魅入られること
〈貌〉の忘却,〈像〉の磨耗
Ⅲ
9 〈面〉から〈幕〉へ
光を当てること
「投射」の機制
過剰,防禦
内と外の反転,否定性
10 時間の断面
「ショット」という単位
空間と時間の熔接
横断体験の強度
「投射」の罠
11 鏡と幽霊
ナルシシズム・双数性・類似
罅の入った鏡像
「物」
「ものぐるひ」の時空
接吻と夕暮
12 〈幕〉あるいは反= ナルシスの装置
ぺらぺらなもの
紙人形たちの劇
四つの条件,ふたたび
〈幕〉と「大きさのなさ」
〈枠〉の中の〈枠〉
終章 「平面」と「近代」
主題たりえぬ主題
「それ自体」への視線
四つの名前
終ることの終り?
後 記
二〇一二年版のための追記――岩波人文書セレクションに寄せて
「岩波現代文庫」版のための後記
解 説……………島田雅彦
松浦寿輝(まつうら ひさき)
1954年東京生まれ.作家・詩人・仏文学者・批評家.東京大学名誉教授.東京大学大学院仏語仏文学専攻修士課程修了.パリ第III大学にて博士号(文学)を,東京大学にて博士号(学術)を取得.詩集に『冬の本』(高見順賞),『吃水都市』(萩原朔太郎賞),『afterward』(鮎川信夫賞),小説に『花腐し』(芥川龍之介賞),『半島』(読売文学賞),『名誉と恍惚』(谷崎潤一郎賞),エッセー・評論に『折口信夫論』(三島由紀夫賞),『エッフェル塔試論』(吉田秀和賞),『知の庭園 一九世紀パリの空間装置』(芸術選奨文部大臣),『明治の表象空間』(毎日芸術賞特別賞)など多数.
1954年東京生まれ.作家・詩人・仏文学者・批評家.東京大学名誉教授.東京大学大学院仏語仏文学専攻修士課程修了.パリ第III大学にて博士号(文学)を,東京大学にて博士号(学術)を取得.詩集に『冬の本』(高見順賞),『吃水都市』(萩原朔太郎賞),『afterward』(鮎川信夫賞),小説に『花腐し』(芥川龍之介賞),『半島』(読売文学賞),『名誉と恍惚』(谷崎潤一郎賞),エッセー・評論に『折口信夫論』(三島由紀夫賞),『エッフェル塔試論』(吉田秀和賞),『知の庭園 一九世紀パリの空間装置』(芸術選奨文部大臣),『明治の表象空間』(毎日芸術賞特別賞)など多数.
書評情報
週刊文春 2018年5月24日号